小説『黄色い家』を読了。
面白くて、あっという間に読み終えてしまった。
お金がない、困窮の中でどうやって生き抜くか。
女性がこの社会の中で、まっとうに、仲間たちと生き抜くことの大変さがよくわかった。
女性の貧困、これがこの小説のテーマだ。
お金とどう向き合い、人生を全うするか。
黄美子さんは、ある意味では、お金からは程遠い人物だ。
お金に執着はない。
お金を稼ぐこともできない。管理もできない。
しかし、お金ではなく、人生で大事なものを持っている。
それは優しさであり、温かさであり、生き抜く強さである。
そして、仲間を大切にし、仲間に助けられ、生きている。
花と黄美子は対比的に描かれている。
花のほうが、現実的には生き抜いていけそうな気がするが、大部分の人と同じで、本当に大事なものを見失っている。
だから、花の葛藤が胸に響く。
そして、大事なものを持ち続け、自分の生き方を貫く黄美子に惹かれる。
自分はどう生き抜くか。それを考えさせられる小説だった。
自分の過去の体験とも重なる部分もあった。
家族の問題、親の問題。お金の問題。
現在の自分はどうか。
小学校の教師を二十年以上続けていることで、ある程度のゆとりはできている。
そして、自分が自分らしく生き抜くための時間も確保できている。
教師の身分は保証されている。
法に反して捕まらない限りは、首になることはめったにない。
だから、
自分は自分の信じる道を進み続ける。
子どもにとって価値ある教師を目指す。
七十歳まで教師を続け、稼ぎ続ける。
そのための戦略をしっかりと練っていくのだ。